藤井氏を語るうえで外せないのが、コロナ禍での真摯な呼びかけだ。外出自粛が叫ばれ、世の中が目に見えない不安に包まれていたあの頃、夕方の画面越しに彼が発した言葉は、多くの家庭にすっと染み込んだ。「命を守る行動を」「今夜は大切な人と話してください」。誰かを責めるのではなく、視聴者の背中をそっと押す温もり。
あの言葉は偶然生まれたものではない。東日本大震災をはじめ、全国の被災地に自ら足を運び、傷ついた人々の声に耳を傾け続けた現場での積み重ねがあったからこそだ。カメラの向こうにいる「一人」を具体的に想像する力。それこそが彼の真骨頂と言える。