太陽が天頂へと差し掛かる正午直前。巨大な斜面が落とす漆黒の影が、ミリ単位で刻まれた大理石の目盛りをゆっくりと滑っていく。現地で影の動きを凝視していると、息を呑むほどの速度感に驚かされる。1秒間に影が約1ミリメートル動くのだ。
この地を治めていたマハラジャ、サワイ・ジャイ・シン2世が1734年に完成させたこの施設は、真鍮や青銅製の小さな天体観測儀では到底得られない「極限の精度」を求めて作られた。金属の熱膨張やゆがみを嫌い、建造物そのものを観測器具にするという突飛とも言える発想。当時、イスラム世界やヨーロッパから最先端の天文学書を取り寄せ、自ら比較検証を重ねた末の結論だった。今日、最新の計測器でチェックしても、その日時計が指し示す現地太陽時は、計算値とわずか2秒程度の誤差しか生じないという。