日本の芸能界におけるコンプライアンス意識は、ここ数年でドラスティックな変化を遂げた。かつてのような「芸の肥やし」という曖昧な免罪符は一切通用せず、企業コンプライアンスと同等、あるいはそれ以上に厳しい倫理観が求められている。
だが、過去の犯罪歴を持つ者の更生や作品自体の芸術的価値をどう扱うかについては、いまだ業界内でも明確な合意形成がなされていない。出演者が逮捕された過去作を一律に封印する手法に対しては、映画ファンやクリエイター側から「文化の破壊だ」との反発も根強く、表現の自由と社会的制裁のバランスを巡る議論は膠着状態が続いている。