今季から完全に義務化された100%持続可能燃料と、300kW以上に増強されたMGU-K(運動エネルギー回生システム)。このパワーユニットの変革は、ドライバーのエネルギーマネジメント戦略を根本から変えた。直線を走り抜ける際の電力放出タイミングや、減速時の回生ブレーキのフィーリングは、コンマ一秒の判断ミスが致命的なラップタイムの遅れに直結する。
競合チームがエネルギー切れに苦しむラップでも、車載カメラに映る王者のステアリング操作には迷いがない。バッテリー残量を巧みにコントロールしながら、後続のライバルを突き放す計算し尽くされた走りは圧巻だ。テレメトリデータが示す加速ラインの美しさは、エンジニアたちをして「人間業とは思えない」と言わしめるほどである。