内山昂輝さんの真骨頂は、物語の進行に伴って見せた「声の質感の劇的な変化」にあります。誕生直後のメルエムは、母である女王の腹を突き破り、同族すら平然と惨殺する冷血漢でした。この時期の内山さんの声は、低く硬質で、他者への共感を一切排除した冷徹そのものです。
しかし、盲目の少女・コムギと出会い、盤上競技「軍儀」で敗北を重ねるうちに、メルエムの内面に「名前も知らぬ己は何者なのか」「力とは何のためにあるのか」という哲学的な問いが芽生えます。内山さんはこの内面的な揺らぎを、声の抑揚や息づかいの微妙なニュアンスで表現していきました。
特にネテロとの死闘を経て自身の名前(メルエム=全てを照らす光)を知り、毒に侵されて残された時間を悟った終盤では、角の取れた柔らかく穏やかな声へと変化していきます。ネット上やアニメファンの間でも「声のトーンだけでキャラクターの精神的成熟が完全に伝わってくる」「怪物から本物の王、そして人間へと昇華していく芝居が神がかっている」と、その演技力は極めて高い評価を獲得しました。