話題沸騰中の 2026年春、和菓子界を揺るがす「ピンクの波」——伝統の桜もちが海外Z世代と老舗職人を巻き込む大ブームの舞台裏について、多角的な視点を整理して公開しています。

桜もちを口にするとき、誰もが一度は抱く疑問がある。あの緑色の塩漬けの葉は、一緒に食べるべきなのか、それとも剥がして残すべきなのか。

老舗の職人に教えを乞うと、帰ってきた答えは拍子抜けするほど自由だった。「どちらでも、召し上がる方が美味しいと感じる方法が正解です」。

本来、桜の葉は餅の乾燥を防ぎ、桜独特の香りを移すために巻かれたものだ。葉に含まれる「クマリン」という香気成分が、小豆の甘みを引き立てる重要な役割を果たしている。葉ごと食べれば、塩気と香りがダイレクトに広がり、甘さとのコントラストが強調される。一方、葉を外して食べれば、移ったほのかな香りと餅本来のやさしい味わいを純粋に楽しめる。

「職人としては、葉の塩加減や厚みまで計算して作っています。ですが、召し上がる方の好みで剥がしていただいても決して失礼には当たりません」と職人は微笑む。百年以上続くこの論争は、食べる人の好みに委ねる寛容さこそが答えなのだ。