澄川駅の改札を出て平岸通を少し横道に入ると、タイムスリップしたかのような味わい深い路地が現れる。昭和40年代から暖簾を守り続ける老舗定食店には、使い込まれたカウンター席で黙々と箸を動かす常連客の姿がある。使い古された鉄板から立ち上るジューシーな音と、お袋の味を思わせる甘辛いタレの香りが店内に満ちている。
その一方で、ここ数年は若手店主による新しい感性の定食店も続々とオープンしている。木の温もりを活かしたカフェ風の店内、有機野菜をふんだんに取り入れたメニュー、自家製発酵調味料を使った小鉢など、従来のイメージを覆すスタイリッシュな空間が若者や女性客の心を掴んでいる。新旧が心地よく共存するこの包容力こそが、今の澄川の魅力だ。