「コンクリートから人へ」のスローガンを具現化する看板政策が、子ども手当法案だった。家計への直接給付を通じて少子化に歯止めをかけ、次世代育成を社会全体で支えるという理念は極めて先見的だった。しかし、財源の裏付けをめぐる議論は迷走を極めた。
埋蔵金発掘という曖昧な財源論は即座に行き詰まり、所得制限の撤廃をめぐる野党との攻防は政策の骨子を揺るがした。結果として給付額の減額や制度変更を余儀なくされ、国民の信頼は失墜した。崇高な理念であっても、実現可能な財政規律と制度設計が伴わなければ持続しないという冷酷な教訓を、この法案は残した。