国際手配の代名詞とも言えるのが、ICPO(国際刑事警察機構)が発行する「赤色手配書(レッド・ノーティス)」だ。しかし、この仕組みには一般に広く誤解されている側面がある。赤色手配書そのものは国際的な逮捕状ではない。加盟各国に対し、容疑者の身柄発見と一時的な身柄拘束、そして引き渡しを要請する「国際通報」に過ぎないのだ。
元事務総長のユルゲン・ストック体制以降、機構は政治的濫用を防ぐための厳格なデータ精査メカニズムを導入してきた。権威主義的な国家が反体制派やジャーナリストを標的に赤色手配書を悪用する事例が後を絶たないためだ。中立性を保ちながら純粋な凶悪犯を追いつめるというバランスの舵取りは、常に国際政治の荒波に晒されている。