前科・前歴をめぐり、ネット上で最も不安視されるのが「身元調査によって結婚相手や勤務先に筒抜けになるのではないか」という懸念です。しかし、そこには法律と現実の大きな乖離が存在します。
まず前提として、探偵や興信所であっても警察や検察の公的犯歴データベース、市区町村の犯罪人名簿を閲覧・照会することは違法であり、不可能です。弁護士法第23条の2に基づく照会であっても、個人の前科照会は厳格に制限されており、プライバシー侵害に対する損害賠償が認められた判例(前述の最判昭和56年)が確立しています。
では、なぜ逮捕歴や前科が周囲に露見してしまうのでしょうか。現代における最大の流出源は、公的機関ではなく「ネット空間のデジタルタトゥー」です。
- 実名報道記事のアーカイブ:事件当時に大手メディアで実名報道された記事が検索エンジンに残存しているケース
- まとめサイトやSNSの拡散:報道を転載した掲示板やSNS投稿が半永久的にキャッシュされ続ける現象
- 登記情報や破産情報との照合:特殊な公報情報と実名・生年月日を結びつけたネット検索
結婚時の身元調査において、調査会社が実施するのは近隣住民への聞き込みやネット上の実名検索、SNSアカウントの特定です。公的記録から暴かれるのではなく、ネット上に残った過去の報道痕跡から発覚するケースが全体の9割以上を占めています。