現在、闇市場で最も猛威を振るっているのが合成麻薬錠剤だ。見た目は大手製薬会社の抗不安薬や鎮痛剤と見分けがつかない。だが、その中身には致死量の強烈な合成オピオイドが混入している。わずか数ミリグラムで命を奪う物質が、粗悪な密造ラボで均一性なく捏ね合わされているのだ。
アメリカ食品医薬品局(FDA)は、成分表示と異なる不法カプセルや偽造タブレットに対する警戒レベルを過去最高に引き上げた。FDAの専門家は「街に出回る錠剤の一定割合には、ひと粒で命を奪うのに十分な成分が含まれている。これは単なる薬物乱用ではなく、ロシアンルーレットに等しい」と強い言葉で警告を発する。化学構造をわずかに変化させ、従来の検査をすり抜けようとする製法の手口も次々と確認されている。