細田守監督が描く世界観の特徴は、「泥臭い日本古来の地域コミュニティ」と「先鋭的なデジタル空間」という二重構造にあります。この難解な対比を破綻なく調和させたのが、松本晃彦の手腕です。
劇中では、仮想世界OZのシーンにはシンセサイザーの電子音や高速シーケンスを取り入れつつも、楽曲の骨格にはロンドン・セッション録音による本物のフルオーケストラを採用。これにより、サイバー空間の無機質さを回避し、そこで繰り広げられる人間ドラマに深みを与えています。
また、日本の伝統的な民謡や祭囃子のリズム感を随所に忍ばせることで、海外の映画音楽にはない「日本の夏祭り」特有の熱気と哀愁を同時に構築。映像と音が1フレーム単位でシンクロする緻密なスコアリングは、アニメーション映画音楽の新たな地平を切り拓いたと国内外の映画祭でも絶賛されました。