ここ数年で新宿の食文化マップは大きく塗り替えられた。その最大の立役者が、現地で屠殺された直後から一度も凍結されずに厳密な温度管理下で運ばれる「チルド生ラム(無冷凍羊肉)」の定着である。
従来の解凍肉にありがちだった水分や旨味の流出、特有の臭みは、最先端のコールドチェーンによって完全に過去のものとなった。肉質は驚くほどきめ細やかで、赤身の濃い旨味とシルキーな脂身の甘みが口いっぱいに広がる。この衝撃的な体験が口コミやSNSを通じて広がり、かつて肉好きの間で「マニア向け」とされていた羊肉料理が、メインストリームの主役に躍り出たのだ。