そもそも「ワンチャン」の原点は、麻雀の勝負現場にある。逆転の芽がわずかに残されている状況や、特定の牌が通る薄い可能性を指す麻雀用語として、日本プロ麻雀連盟に所属するプロ棋士や熱狂的な愛好家の間で長年親しまれてきた歴史を持つ。窮地に追い込まれても諦めない一瞬の隙を狙う勝負師たちの実戦感覚が、この短い言葉に込められていた。
これが2000年代後半以降、インターネット掲示板や初期のSNSを通じてネットスラングとして徐々に拡散を始める。さらに2010年代に入ると中高生や大学生を中心に一気に浸透し、カジュアルな若者言葉へと姿を変えた。勝負の土壇場という本来の重い意味合いから、「もしかしたら」「ワンチャンスあるかも」といったライトな期待値を表現する便利な日常語へと変化を遂げたのだ。