タイトルである『Nのために』が示す通り、主要な登場人物たちは全員、イニシャル「N」を持つ誰かのために行動し、嘘をつき、自らの人生を捧げていました。誰が誰のために動いていたのか、その相関関係を整理します。
・杉下希美(Sugishita Nozomi)のN:成瀬慎司 / 安藤望
希美にとって魂の片割れであり、唯一弱さを見せ合える存在が成瀬慎司(Naruse Shinji)でした。一方で、自分をまぶしい光の世界へ連れ出してくれる安藤望(Ando Nozomi)の純粋な未来を何よりも守りたいと願い、彼を事件の真相から完全に遠ざけました。
・成瀬慎司(Naruse Shinji)のN:杉下希美
高校時代に実家の料亭「さざなみ」が全焼した際、自分を信じてくれた希美(Nozomi)を生涯守り抜くことを誓っていました。事件現場に居合わせた際も、希美の「頼みがあるの」という一言だけで全てを察し、警察への通報を遅らせて現場の隠蔽を手助けしました。
・安藤望(Ando Nozomi)のN:杉下希美
希美(Nozomi)を心から愛し、彼女と共に人生を歩むことを望んでいました。しかし、希美が自分を高く評価してくれる野口に惹かれているのではないかという焦燥感からチェーンを掛けてしまい、無自覚のまま悲劇の引き金を引くことになります。
・西崎真人(Nishizaki Masato)のN:野口奈央子 / 杉下希美
虐待のトラウマに苦しむ自分を救うため、同じ痛みを抱える野口奈央子(Noguchi Naoko)を救出することに執着しました。同時に、共に作戦を遂行した希美(Nozomi)の未来を守るため、自ら10年の刑を受け入れました。
・野口貴弘&奈央子(Noguchi Takahiro & Naoko)のN:互いの存在
貴弘は歪んだ独占欲から奈央子を支配しようとし、奈央子は暴力を振るわれながらも貴弘への依存と愛を断ち切れませんでした。二人の愛の形もまた、悲劇的な「Nのために」だったと言えます。