私たちが親しんでいる模型としてのフィギュアは、英語では単に「figure」と呼ぶよりも「action figure」や「collectible figurine」と表現されるケースが多い。この言葉の背景には、世界の玩具産業を揺るがした画期的なマーケティング戦略が存在する。
1960年代、アメリカの大手玩具メーカーであるハズブロは、男児向けミリタリー玩具「G.I.ジョー」を発売するにあたり、「doll(人形)」という言葉を徹底して避けた。当時の社会通念上、「男の子が人形で遊ぶ」という偏見を打破するため、彼らが新たに生み出した言葉こそがアクションフィギュアだった。これが大ヒットを記録し、玩具市場にまったく新しいジャンルを打ち立てた。
このカルチャーは映画『トイ・ストーリー』でも鮮やかに描かれている。主人公のバズ・ライトイヤーが自らを「おもちゃ(toy/doll)」ではなく誇り高き「スペース・レンジャーのアクションフィギュア」と主張し続けるシーンは、まさにこの言葉に込められたアイデンティティを象徴している。
現代では、日本のグッドスマイルカンパニーをはじめとするメーカーが手掛ける高品質なスケールフィギュアが世界中を熱狂させている。欧米のコレクターの間でも「Figure」という単語は、精緻な造形美を誇る大人のホビー文化として完全に認知されている。