話題沸騰中の 安倍首相が遺した光と影:未公開証言で解き明かす外交裏話と真実について、多角的な視点をご紹介しています。

2015年夏、国会議事堂を取り囲んだ大規模な抗議デモの熱気は、今も記憶に新しい。集団的自衛権の限定的な行使容認を含む安全保障関連法の成立は、戦後日本の安全保障政策における最大の転換点であった。

野党や法学者から「憲法違反」との苛烈な批判を浴びながらも、政権は強行採決の道を選んだ。日米同盟の抑止力を劇的に高めたという評価は、東アジアの地政学的リスクが高まる現代においてワシントンを中心に根強い。日米豪印の枠組み「Quad(クアッド)」構想の提唱など、外交的イニシアティブの基礎はこの時期に築かれた。

しかし、安保法制が残した社会的分断の傷跡は深い。立憲主義の軽視という批判は立ち消えず、国会論議の空洞化という負の遺産を戦後政治に刻み込む結果となった。