読者の印象に強く残っているため「毎回のようにタプタプしている」と思われがちですが、原作全276話を通じて桜木が安西先生のアゴをタプタプした回数は厳選された通算13回前後にとどまります。
回数自体は決して乱発されていないものの、1回ごとのシチュエーションが極めて印象的です。例えば、陵南高校との練習試合前夜や、強豪・海南大附属高校戦の緊迫した局面、さらにはインターハイ前の「シュート2万本合宿」で二人きりの猛特訓を行う場面などでタプタプが繰り出されます。
特に圧巻なのは、山王工業戦におけるクライマックスです。背中に選手生命を脅かす大怪我を負った花道が、交代を告げる安西先生に対して放った「オヤジの栄光時代はいつだよ…全日本のときか?」「オレは今なんだよ!!」という名セリフの前後にも、このアゴを掴む仕草が静かに織り交ぜられています。初期の無礼な挑発から、終盤には「言葉を超えて魂を通わせる儀式」へと変化していった過程が、読者の胸を熱くさせます。