本作の根底を貫くのは、極限状態に追い込まれた人間が放つ剥き出しの狂気だ。愛する者を理不尽に奪われた男が、社会の底辺から権力の中枢へと牙を剥く怒涛のリベンジアクション。そこには安易な救いやカタルシスなど微塵も存在しない。
骨がきしむ肉弾戦、鉛の弾丸が飛び交う銃撃戦、そして冷え切った夜の街に広がる鮮血。緻密に計算されたアクション演出は、ハリウッドや韓国の傑作群にも引けを取らない完成度を誇る。まさに日本発のノワール映画が到達した新たな金字塔と言える。
ただ暴力を描くのではない。暴力を振るう側と受ける側、双方が抱える拭い去れない罪悪感と絶望のグラデーションが、フィルムの隅々まで染み渡っている。観客は息をすることすら忘れ、画面の奥底へと引きずり込まれるはずだ。