平治の乱で敗れ、伊豆国へ流された平家全盛の時代。源氏の貴公子でありながら明日をも知れぬ無力な流人だった頼朝の前に現れたのが、地元の有力豪族・北条時政の娘である政子だった。当時の政情を鑑みれば、平家の目を恐れる父・時政がこの祝言に猛反対したのは当然のことと言える。
だが、政子は親の決めた婚約者を蹴り捨て、激しい雨の夜に密かに頼朝のもとへ走った。この決死の駆け落ち劇こそが、後の武家政権の起爆剤となったのだ。夫の野心と血統、そして妻の圧倒的な行動力と実家の財力が噛み合わさった時、鎌倉時代の扉が静かに、しかし確実に開き始めたのである。