声のプロを目指す養成所やアナウンススクールの現場では、どのような指導が行われているのでしょうか。都内のアナウンス指導関係者や現役声優の証言からは、現代ならではの苦闘が浮かび上がってきます。
多くの講師が口を揃えるのは、「入所してくる受講生の8割以上が、最初は鼻濁音の出し方すら知らない、あるいは音を自覚できていない」という実態です。特に非鼻濁音地域出身の受講生だけでなく、東京生まれ東京育ちの若者であっても、耳が「か゚」の音を区別する訓練を受けていないため、自分の出している音が濁音なのか鼻濁音なのか判別できないケースが増えています。
声優の現場においては、キャラクターの属性によって緻密な使い分けが求められます。時代劇や清楚な貴族、落ち着いたナレーションでは鼻濁音が必須とされる一方、荒々しい戦士や現代風のやんちゃな少年役で鼻濁音を使うと、上品すぎてキャラクター像が崩れてしまうことがあります。現場のプロは、鼻濁音を「正しいか正しくないか」ではなく、「表現のパレットを広げるための強力な武器」として捉え、自在に出し分けられるよう鍛錬を積んでいます。