同じ「筆」という道具であっても、書道と水彩画ではアプローチが180度異なります。この違いを理解すると、道具に対する理解がさらに深まります。
書道における筆の持ち方は、「中心軸を保ち、線の太さや方向を正確にコントロールする」ことが最優先されます。そのため、筆を立てて軸の回転を指先で抑えるのが原則です。
対して水彩画の筆の持ち方は、表現の多彩さが最重要視されます。広い面を均一に塗るウォッシュ技法では筆を寝かせて毛の腹を大きく使ったり、遠近感を出すストロークでは軸の末端を軽くつまんで手首のスナップを利かせたりします。絵筆は「自由な角度で多彩なタッチを生み出す道具」、書道筆は「垂直を軸にして規律ある線を生み出す道具」という明確な違いがあるのです。