美味しいご飯を炊くための勝負は、洗米ボウルに水を注いだ瞬間から始まっています。キッコーマンや大手精米メーカーの技術データが示す通り、乾燥状態のお米は最初の水分を一気に吸収するため、最初の手順を誤ると糠(ぬか)の臭みまで米粒内部に取り込んでしまいます。
お米の正しい研ぎ方における最大の鉄則は、「最初の水は10秒以内に捨てる」ことです。たっぷりの水を入れたら手早く2〜3回かき混ぜて即座に排水します。この最初の洗米および最終的な炊飯には、塩素を含まない浄水や軟水のミネラルウォーターを使うのが理想です。その後の本研ぎでは、手のひらの付け根で力を入れてゴシゴシ擦り合わせる昭和初期の研ぎ方は厳禁です。現代の精米技術は非常に高度なため、指を熊手のように広げてシャカシャカと20〜30回ほど優しく円を描くようにかき混ぜるだけで十分です。これを2〜3回繰り返し、水がうっすら透き通る程度で研ぎを完了させます。
続いて重要になるのがお米の浸水時間と水温のコントロールです。お米の中心部まで水分を行き渡らせるには、夏場で30分、冬場で60分〜90分の浸水が必須条件です。ここで差がつくポイントが「水温」です。水温が20℃を超えると吸水スピードが早すぎて米粒が割れやすくなり、炊き上がりがベチャつく原因になります。冷蔵庫に入れて水温10〜15℃前後の冷水でじっくり浸水させることで、米粒の細胞が引き締まり、均一な吸水が実現します。
浸水が完了したら、しっかりとザルに上げて水を切った上で、水加減の黄金比率を合わせます。炊飯時の基本比率は「お米の重量に対して1.2倍(体積比なら1.2〜1.25倍)」です。新米の場合は水分量が多いため1.1倍〜1.15倍程度にやや減らし、乾燥が進んだお米は1.25倍程度に微調整するのが失敗を防ぐ黄金ルールです。