地震の直前予知は長年、科学者たちにとって「不可能」の代名詞とされてきた。地下数キロから数十キロの深部で何が起きているかをリアルタイムで完璧に監視することは、現代の技術でも容易ではない。しかし測量学の観点は異なった。
地中のエネルギーが高まれば、必ず地表に何らかの歪みや「うねり」が生じる。村井俊治氏は測量工学の専門家としての知見を活かし、宇宙からのGNSS地殻変動測定を活用することで、ミリ単位の地表の動きを監視するシステムを構築した。地中を覗くのではなく、空間全体の変形を面で捉える視点の転換が、従来の地震学と一線を画す最大の理由だ。