単なる癖なのか、それとも疾患の兆候なのかを判断するには、耳の触り方に伴う「周辺症状の複合観察」が不可欠です。臨床現場で重視される識別ポイントを整理しました。
特に警戒すべきは「乳児急性中耳炎」の初期症状です。言葉を発せない乳幼児は、耳の痛みを「夜間の激しい夜泣き」「授乳時の急な拒否(吸啜動作で耳の内圧が変化し痛むため)」「横たわると不機嫌になり抱っこを要求する」といった形で表出します。数日前から鼻水や咳が出ていた後に耳を気にする仕草が始まった場合は、中耳炎を強く疑う根拠となります。
また、耳の裏や耳たぶの付け根を激しくかきむしる場合、乳児湿疹やアトピー性皮膚炎、汗疹(あせも)による皮膚トラブルが考えられます。耳の周囲は皮脂分泌が盛んで汚れが溜まりやすく、浸出液でただれたり亀裂が入る「耳切れ」を起こしやすい部位です。皮膚のバリア機能が低下していると、かゆみから爪で皮膚を傷つけ、黄色ブドウ球菌などが二次感染して外耳炎を併発するリスクも潜んでいます。
さらに、耳垢の性状にも着目する必要があります。赤ちゃんの耳から酸っぱい臭いや膿のような異臭が漂っていたり、黄色・茶褐色の耳だれ(耳漏)が枕や衣類に付着している場合は、鼓膜に穴が開いて膿が排出されている急性中耳炎の進行期や外耳道炎が疑われるため、速やかな耳鼻咽喉科での処置が求められます。