図書館同士が書籍を貸し借りする仕組みは、図書館情報学の分野でILL(相互貸借(Interlibrary Loan)と呼ばれ、地域間の情報格差を埋めるための重要な根幹を成してきた。自館で所蔵していない希少な学術書であっても、国立国会図書館や他都道府県の広域図書館から取り寄せることで、地方にいながら高度な文献調査が可能となる。
しかし、この配送にかかるコストは決してタダではない。自治体が提携する配送業者の運賃や郵送料、梱包資材費、そしてなによりも双方の館で生じる人件費は、すべて市民の税金で賄われている。1冊の取り寄せに数百円から千円以上もの公費が費やされることも珍しくない。自治体の予算が縮小を続けるなか、無駄に終わる取り寄せの送料負担は、図書館の図書購入予算を直撃するという苦渋の裏事情を引き起こしている。