1950年代後半、スカウトをきっかけに東映へ入社した彼女は、瞬く間に「東映城のお姫様」として絶大な人気を獲得した。だが、単なる清純派アイドルの枠に収まる器ではなかった。転機となったのは、水上勉原作の名作『五番町夕霧楼』への主演である。
遊郭という過酷な世界に身を投じながらも、純真な心を失わないヒロイン・夕子を演じきった佐久間良子の鬼気迫る演技は、従来の日本映画における女性像を根底から覆した。東映の看板女優としての地位を盤石なものにしただけでなく、本格的な実力派女優として日本映画史にその名を刻みつける決定打となったのだ。