本作は、切なくも美しい学園ファンタジーの枠組みの中に、怪異や怪談といった本格的なオカルト要素が緻密に織り込まれた作品だ。その中で放送部という組織は、生者と死者、さらには人間と怪異が交わる特異な情報発信拠点として機能している。つかさの圧倒的な力、桜の静かな知略、そして夏彦の機動力と人間社会での立ち回りが組み合わさることで、学園全体の秩序が揺るがされてきた。
夏彦が持つ人間としての情報網や機転は、怪異側にとっても極めて貴重な戦力となっている。オカルト的な事象に翻弄される側ではなく、自らオカルトを利用して現実に介入する彼の立ち位置は、怪異と人間が共存する新しい世界の構築、あるいは過去の因縁を断ち切るための「世界の変革」を狙っているとも推測できる。彼が握る鍵が、今後の学園の運命を大きく二分することは間違いない。