優れた防食性能を誇るドブ漬けメッキですが、加工現場や施工現場では特有のトラブルや誤解が後を絶ちません。現場で頻発する2大課題がボルトのねじ嵌合不良と初期の白さび(ホワイトラスト)です。
1. ドブ漬けボルトのねじ嵌合トラブルと対策
一般のボルト・ナットをそのままドブ漬けメッキ槽に浸すと、ネジ谷に厚い亜鉛が溜まり(タレ・カス)、ネジが入らなくなる致命的な嵌合トラブルが発生します。ドブ漬けボルトを使用する際は、以下の現場標準ルールを徹底しなければなりません。
- ナットのオーバーサイズタップ加工:ボルト側に十分な膜厚を確保するため、雌ネジ(ナット側)をあらかじめ規定量(0.4〜0.8mm程度)大きくタップ加工(オーバーサイズ加工)した上で、メッキ後に再タップを通すか、遠心脱水機で余剰亜鉛を振り落とす専用工程が施されます。
- 規格の統一:電気メッキ用の通常ナットにドブ漬けボルトをねじ込むことは物理的に不可能です。必ず「溶融亜鉛めっき高力ボルト(F8T等)」や「ドブ漬け規格ボルト・ナットセット」を使用する必要があります。
2. 白さびの発生原因とネットの誤解
「納品されたばかりのメッキ部材に白い粉がびっしり付着している。これは不良品の腐食ではないか?」という問い合わせは、現場で最も多い誤解の一つです。
この白い粉の正体は塩基性炭酸亜鉛の前駆体である水酸化亜鉛(白さび)です。メッキ直後の新鮮な亜鉛面が、通気性の悪い密着状態(野積みシート内など)で結露や雨水に晒されると、炭酸ガスとの正常な反応が阻害され、急速に白さびが発生します。
白さびは見た目こそ悪化するものの、亜鉛皮膜自体が致命的に侵食されているわけではありません。通気性の良い大気中に放置すれば自然に緻密な保護皮膜へ転換し、防食性能への実質的な影響は軽微です。ただし、過度な白さびを防ぐには「積み重ね保管時の角材スペーサーによる通気確保」や「初期の水濡れ防止」が現場管理の基本となります。