ジャムがとろりと固まるためには、果気に含まれるペクチン、酸、そして砂糖の三者が絶妙なバランスで結合しなければならない。しかし、リンゴや柑橘類に比べて梨はペクチンの含有量が極めて少ない。これが「いくら煮詰めてもサラサラのスープのまま」という失敗を引き起こす構造的理由だ。
この問題を一発で解消するのが、仕上げ直前に投入する新鮮なレモン汁だ。レモン汁に含まれるクエン酸がpH値を3.0〜3.2の最適域へと押し下げ、果肉から溶け出した微量のペクチンを急激に網目状構造へと変化させる。市販の粉末ペクチンを補う方法もあるが、新鮮なレモン汁のキレのある酸味が、和梨の上品な甘さを美しく引き締め、鮮やかな色合いを保ち続ける。