2004年に開館した本館の設計を担当したのは、国立競技場などで世界的に知られる建築家・隈研吾氏です。外観は周囲の豊かな緑と調和するモダンなフォルムで、内部に足を踏み入れると木製ルーバーとガラス、スチールが織りなす開放的な2階吹き抜け空間が広がります。自然光が柔らかく注ぎ込む構造は、農と自然の結びつきを視覚的にも体感させてくれます。
1階フロアで圧倒的な存在感を放っているのが、「卒業生蔵元の酒瓶コレクション」です。東京農業大学醸造科学科は、日本で唯一の醸造・発酵を専門に学べる名門学科として知られ、全国の酒蔵の跡継ぎや杜氏を数多く輩出してきました。壁一面に整然と並べられた約280蔵・数百本に及ぶ日本酒の一升瓶がライトアップされた光景は、圧巻の一言に尽きます。「あの有名銘柄の杜氏も農大出身だったのか」と、日本酒愛好家であれば思わず足を止めて見入ってしまうはずです。
さらに2階には、日本の農村文化を物語る貴重な古農具コレクションや、緻密なニワトリの品種標本(剥製・骨格標本)がずらりと展示されています。2026年最新の企画展では、最先端のアグリテック(農業DX)や都市型農業、気候変動に対応する未来の食料生産に関する特設展示が開催されており、伝統的な農業史から未来の食環境までをシームレスに学ぶことができます。