1986年8月8日、「MISATO SPECIAL '86 KICK OFF at 西武球場」と銘打たれた公演から、渡辺美里と西武球場の伝説が幕を開けました。当時、女性ソロシンガーによるスタジアム単独公演は日本音楽史上初の試みであり、興行界の常識を覆す大挑戦でした。同年1月にリリースされたシングル「My Revolution」がチャート1位を獲得し、社会現象となる中で開催されたこの初陣は、約3万6千人のファンを動員して大成功を収めます。
緑豊かな所沢の自然に囲まれた球場に、青空から茜色の夕焼け、そして満天の星空へと移り変わる壮大なロケーション。彼女の力強いボーカルと観客の熱気は完全にシンクロし、「毎年夏は西武球場で美里と会う」という強固なファンコミュニティと年中行事が確立されていきました。
1999年には球場に屋根が架設され「西武ドーム」へと進化を遂げましたが、屋根とスタンドの隙間から自然の風が吹き込む独特の構造はそのまま残されました。熱気と湿度が渦巻くハードな環境下でも、渡辺美里は一度も途切れることなく20年連続でステージに立ち続け、スタジアムライブの最長連続記録として音楽史にその名を刻んだのです。