カタルーニャ・ダービーが世界中のフットボールファンを惹きつけてやまない理由は、単なる同一都市内のライバル関係にとどまらない、重層的な歴史とアイデンティティの対立にあります。
バルセロナは古くから「カタルーニャ民族主義」の象徴(Més que un club=クラブ以上の存在)として位置づけられ、独自の言語や文化、自治権の確立をピッチ内外で体現してきました。これに対し、1900年に創設されたエスパニョールは、クラブ名に「Real(王立)」を冠し、スペイン中央政府や国王への忠誠、反排他主義の立場を取ってきた背景があります。
社会心理学における「社会的同一視理論(Social Identity Theory)」の観点から見ても、両クラブのサポーターはチームを自身の政治的・文化的アイデンティティの代理戦争として捉える傾向が強く、これがスタジアムでの異様な熱気と激しいブーイングを生む要因となっています。
過去には2007年、ラウル・タムードがバルサ相手に劇的な同点ゴールを決め、バルセロナのリーグ優勝を打ち砕いた「タムダッソの悲劇」など、語り継がれる遺恨のドラマが幾度となく刻まれてきました。順位表の立ち位置がどれほど離れていようとも、ピッチに立てば戦力差が一瞬で吹き飛ぶのがこのダービーの真髄です。