モデルとしての枠組みを完全に突破した決定打といえば、NHKで放送された『大奥 (2023年のテレビドラマ)』での徳川吉宗役だろう。時代劇という伝統的な枠組みにおいて、彼女の長身と引き締まった立ち姿は、これまでにない革新的な将軍像を提示した。
裃(かみしも)を身にまとい、砂浜を颯爽と白馬で駆けるシーンの神々しさは、今なお多くの視聴者の脳裏に焼き付いている。従来の時代劇の常識では、背が高すぎることは配役の制約になりかねないと考えられていた。しかし冨永愛は、その圧倒的なスケール感を武器に変え、気品と威厳を兼ね備えた唯一無二の吉宗を体現。日本の映像界におけるキャスティングの可能性を劇的に拡張してみせた。