かつて地域住民の日常を支え、深い谷を繋いでいた旧TR高千穂線。しかし2005年、猛烈な台風が沿線の大規模な橋梁を破壊し、鉄路は運行不能となった。全線廃止が決定し、線路の撤去作業が計画される中、「この歴史ある線路を地域の誇りとして残したい」と地元住民や有志が立ち上がった。
会社の設立初期を支えた高山晋氏や、後に社長として現場を牽引した重冨照幸氏ら、熱意ある人々が結集して高千穂あまてらす鉄道株式会社が設立される。安全基準のクリアや資金面の難題をひとつずつ乗り越え、路線を単なる交通機関から観光鉄道業へと再定義した。鉄路を無くすのではなく活かす——その強い執念が、途絶えかけた線路を世界に誇る観光資源へと蘇らせたのだ。