しかし、アヴァンギャルドの申し子は1980年代後半、予想外の形で時代の中央へと躍り出ることになる。フジテレビを中心とした空前のトレンディドラマブームである。特に1987年に公開された映画『私をスキーに連れてって』での好演は、バブル期の若者文化に社会現象と言えるほどの大きなうねりを巻き起こした。
都会的で洗練されたルックス、都会の夜に漂うどこか影のある寂しげな表情。フジテレビのトレンディドラマが求める「憧れの男」を体現しながらも、彼は決して軽薄なアイドル俳優には収まらなかった。画面の中にふと見せる冷ややかな視線や、刹那的な笑み。大衆に消費される狂騒の真ん中に身を置きながら、三上自身は常に自らの演劇的核を見失わず、商業主義的な狂熱と自身の芸術的エゴとの間でピンと張り詰めた糸のような緊張感を保ち続けていたのだ。