「々」は漢字じゃない?踊り字の正式名称とスマホ一発変換の極意について知っておくべき 理由を分かりやすい構成で解説いたします。

文章の中で同じ漢字が連続するときに添えられる「々」。文化庁の国語表記基準や印刷・出版業界の組版規定において、この記号は漢字ではなく約物(やくもの:文字以外の記号全般)に分類されている。正式な総称は「踊り字(おどりじ)」。「重ね字」「送り字」「畳字(じょうじ)」とも呼ばれる。

では、この記号自体の固有名称は何と呼ぶのか。正式名称は「同の字点(どうのじてん)」である。「同じ」を意味する符号として直前の漢字1文字を繰り返す役割を持つ。国語辞典編纂者の研究資料や書道史の調査によると、その字形はカタカナの「ノ」と「マ」を組み合わせたものではない。中国の古代文字である殷・周時代の青銅器銘文(金文)に遡ると、同じ文字を連続させる際に右下に付された二本の斜線「二(重点)」が原点とされる。

時代が下るにつれ、同じ漢字を繰り返す際に「同」の草書体を簡略化して書く慣習が定着した。その崩し文字が日本に伝来し、平安時代以降の古文書や仮名交じり文の中でさらに記号化が進んだ結果、現在の「々」の形へと昇華したのが歴史的事実である。

なお、印刷現場やデザイン業界では、その見た目から通称として「ノマ記号」と呼ばれるケースが多々ある。活版印刷の植字工が現場で瞬時に判別するための符丁(業界用語)として使われたのが発端であり、文字学的な正式名ではない点には留意したい。