日本の医療現場において、代理出産は実質的に閉ざされた選択肢であり続けている。日本産科婦人科学会は1993年以降、会告(自主規制)によって代理懐胎を一貫して禁じてきた。医学的なリスクや家族関係の複雑化、そして倫理的懸念を理由にした強いブレーキだ。一方で、厚生労働省の審議会等でも長年にわたり法規制の議論が重ねられてきたものの、抜本的な法整備はいまだ結実していない。
法律で明確に禁止されていないが国内の医療機関では実施できない——この「制度の空白地帯」が生み出したのが、海外へ活路を求めるメディカルツーリズムの過熱である。かつて渡航先として一般的だった米国カリフォルニア州だけでなく、費用を抑えられるジョージアやコロンビアなど、受入れ国は多様化と流動化を繰り返してきた。渡航先での法改正や政情不安によって、契約中の日本人夫婦が突然梯子を外される事態も現実に起きている。