日本のテレビドラマ史において、ひときわ眩い光を放ち続けているのが坂元裕二脚本の『大豆田とわ子と三人の元夫』だ。松たか子演じる主人公・大豆田とわ子と、彼女に未練を残す個性豊かな3人の元夫たちが繰り広げる、ビタースイートで愛おしい日常劇である。
脚本の密度、演出の洒脱さ、そして劇伴音楽に至るまで、すべてが一級の芸術品のように研ぎ澄まされていた。突飛な事件が起こるわけではない。日々の小さなすれ違い、靴下のかかとの穴、あるいは誰にも言えない小さな孤独。そうした微細な感情の機微を、極上のユーモアとウィットに富んだ台詞回しで描き切った。
毎話変化するエンディング曲やスタイリッシュな映像表現を含め、テレビドラマというフォーマットの限界を軽々と押し広げた金字塔として、今もなお多くの創作者たちに語り継がれている。