神戸市灘区で少林寺拳法の道場を主宰していた父の指導は、妥協を一切許さないものだった。幼少期の戸田恵梨香もまた、兄とともに道着に身を包み、厳しい稽古に汗を流した。足腰を鍛え、礼儀作法を徹底し、痛みから逃げない。弱音を吐くことは許されなかった。
「自分の行動に責任を持て」「逃げるな」。父が繰り返し口にした言葉は、幼い心に深く刻まれた。ただ強いだけでなく、他者を思いやる精神を重んじる少林寺拳法の教えは、彼女の内面的な骨格を形成した。理不尽に直面しても感情に流されず、凛として前を見据える佇まいは、幼少期の鍛錬が生み出した賜物に他ならない。