旧華族の血脈は、現代のビジネス界やエンターテインメント、ジャーナリズムの世界にも深く根を下ろしています。インターネット上で関心を集める華族子孫の有名人一覧を整理すると、意外な分野でトップに君臨していることがわかります。
麻生太郎元首相は、母方の曽祖父が明治の元勲・大久保利通であり、伯爵・牧野伸顕の孫にあたります。また、長年にわたりNHKの看板アナウンサーとして親しまれた松平定知氏は、徳川家康の異父弟の家系である伊予松右藩(松平家)の直系子孫です。さらに仙台伊達家第34代当主の伊達泰宗氏は、歴史監修者として大河ドラマや歴史ゲームのアドバイザーを務めるなど、先祖の武名とカルチャーを巧みに結びつけています。
一方、スポットライトを浴びる一部の名門を除けば、華族の子孫における現在の暮らしの大半は極めて一般的な中産階級の日常です。華族の家系図や苗字を調べると、三条、蜂須賀、大村、鍋島といった歴史の教科書に出てくる姓が今も受け継がれていますが、本人が職場で公言することは稀です。関係者の証言によると、「学習院を卒業後、メガバンクや総合商社、外資系コンサルティング会社に勤務し、同僚にも自らのルーツを明かさない」というケースが標準的となっています。
特権意識を振りかざすことは周囲との摩擦を生むだけであるという警戒心が強く、「品行方正であれ」「先祖の名を汚すな」という無言の家庭内教育が、結果として堅実な職業選択へと繋がっているのです。