旧華族の現在を語る際、必ずと言ってよいほど都市伝説の舞台となるのが、東京・霞が関の「霞が関ビルディング」内に拠点を置く霞会館(かすみかいかん)です。ネット上では「政官界を裏で操る日本の秘密結社」「莫大な富裕層マネーが集まるサロン」といった根拠のない憶測が飛び交っていますが、その実態は1947年に旧華族の親睦団体であった「華族会館」を改称した、伝統ある一般社団法人です。
霞会館の正会員資格は極めて厳格であり、「旧華族の家系を継承する男系の戸主(当主)およびその成年の嫡男」に限定されています。女性会員や一般市民が正会員になることは基本的にできません。こうした門戸の狭さと完全会員制の運営方針が、外部からの神秘化や誤解を生む土壌となってきました。
しかし、実際の活動内容はきわめて堅実で公益的です。皇室の慶弔行事への協力、伝統文化の保存・継承事業、学術調査研究への助成、そして障害者福祉や大規模災害への寄付活動などを主たる目的としています。霞会館のビル上層階にある施設には食堂や会議室、結婚式場が備わっており、会員同士の家族的な交流や法事、先祖供養の場として利用されるのが日常の姿です。政治的な謀略とは無縁の、歴史的アーカイブと血縁コミュニティの維持組織というのが客観的な事実です。