伝統の重みを背負いながら、果敢に新たな表現へと挑み続ける松本幸四郎。その挑戦的な役者人生を足元で支えているのもまた、伴侶の存在だ。高麗屋という歴史ある家柄において、古典の継承と革新的な演目の創出を両立させることは容易ではない。
膨大な台詞の暗記や過酷な舞台稽古に追われる夫のため、栄養管理や精神的なサポートを徹底する。夫が舞台上でどれほど奔放に役を生きられるかは、家庭という聖域がどれだけ揺るぎなく保たれているかにかかっている。スポットライトを浴びる役者の背後には、一切の妥協を排して日常を整える妻の研ぎ澄まされた美学が存在するのだ。