日本における「他人の家を見る」体験の原点は、長寿番組『渡辺篤史の建もの探訪』にあると言っても過言ではない。建築美と住み手の情熱を朗らかな語り口で紐解くあのスタイルは、お茶の間の定番だった。しかし、スマホの普及がその構図を根底から覆す。
クリエイターが自室を気ままに記録するVlogスタイルが浸透し、YouTubeには洗練された長尺動画が溢れかえった。一方でTikTokの台頭は、わずか数十秒で部屋のビフォーアフターや収納テクニックを見せるテンポの良い切り抜きを生み出した。テレビ画面の「観賞」から、SNSの「共感と模倣」へ。空間視聴のカルチャーは、視聴者の指先ひとつで消費される時代へと突入したのだ。