『ラヴ上等』のようなバズを生み出す番組において、キャスティングチームが最も注力しているのは「キャスト間の相乗効果(ケミストリー)と記号性」の設計です。選考プロセスは大きく分けて「書類・動画選考」「個別面接(オンライン・対面)」「グループディスカッション/カメラテスト」の3段階で進行します。
番組関係者の証言や業界の採用構造を総合すると、全体の合格倍率は300倍から500倍に達すると見積もられています。この天文学的な倍率を勝ち抜くためのオーディション審査基準には、明確な3つの柱が存在します。
第1に、「自己開示の速度と感情の爆発力」です。面接選考の場で優等生的な受け答えに終始する人物は、どれほど容姿端麗であっても即座に見送られます。カメラの前で怒り、泣き、笑い、恥を晒せるか。初対面の相手に対しても自分の弱みや過去の挫折、歪んだ恋愛観を赤裸々に語れるかどうかが徹底的にテストされます。
第2に、「一目で伝わるキャラクターの輪郭(アピアランスとナラティブ)」です。「元暴走族総長」「夜の街のカリスマ」「脱サラした格闘家」「恋愛こじらせ女子」など、テロップ1行で視聴者が属性を理解できるストーリーを持っているかどうかが重視されます。無色透明な好青年や癖のない美女よりも、何かしらの人生の“傷跡”や“棘”を持つ人物がキャスティング担当者のアンテナに引っかかります。
第3に、事務所スカウト枠とインフルエンサー枠のバランスです。制作側はリスクヘッジとして、身元が保証されマネジメントが機能している芸能事務所所属者や、すでに数万人から数十万人のフォロワーを持つ発信者を優先的にラインナップへ組み込みます。その上で、化学反応を起こす“劇薬”として、公募から発掘した規格外の一般人を1〜2名投入するというキャスティング黄金比が採用されています。