会津若松市の中心街、歴史的建造物が軒を連ねる七日町通りの起点近くに店を構える満田屋。かつて菜種油や胡麻油の製油業からスタートし、その後味噌や醤油、醸造品の製造へと暖簾を広げてきた同店は、会津の食文化の変遷そのものを体現する生きた遺産といえます。
店内奥に広がる飲食スペースに足を踏み入れると、中央に据えられた大きな囲炉裏と、真っ赤に熾(おこ)された炭火が目に飛び込んできます。満田屋の代名詞である味噌田楽は、注文が入ってから職人が串を炭火の周りに立て、じっくりと熱を通したあと、具材ごとに異なる特性のタレを塗り重ねて香ばしく炙り焼きにするスタイルです。
立ち上る煙とともに店内に広がる甘辛い味噌の芳香は、訪れる人の食欲を否応なく刺激します。単なる食事にとどまらず、「目の前で職人が火を操り、焼き立てを竹串のまま頬張る」という五感を通じた食体験こそが、時代を超えて多くの人々を惹きつけてやまない最大の要因です。