R&Bの正式名称は「リズム・アンド・ブルース(Rhythm and Blues)」だ。1940年代後半のアメリカで、ビルボード誌の記者だったジェリー・ウェクスラーが、それまで差別的なニュアンスを含んでいた「レ―ス・レコード」という呼称を改め、黒人ポピュラー音楽を称えるために提唱した言葉が発端となっている。憂いを帯びたブルースの哀愁に、跳ねるようなジャズやゴスペルの躍動感を掛け合わせた音楽性こそが、このジャンルの土台だ。
混同されやすいソウルミュージックやヒップホップとの境界線は、どこにあるのか。ソウルは1960年代の公民権運動と強く結びつき、教会仕込みのゴスペルに根ざした「魂の叫び」を前面に押し出す。一方のヒップホップは1970年代のサウス・ブロンクスで生まれ、既存のレコードのドラムブレイクをループさせてラップを乗せるストリートカルチャーから派生した。
リズム・アンド・ブルースは、メロディの艶やかさと心地よいバックビートを軸に据えながら、これらすべてのジャンルを包み込む母胎のような役割を果たしてきた。形式に縛られず、時代ごとの空気感を柔軟に吸収する寛容さこそ、この音楽の本質と言える。