波乱に満ちた家族史を紐解くにあたり、まずは一家の原点と家族構成を整理しておきましょう。ジェリー藤尾さん(本名:藤尾薫紀=ふじお・しげのり)は、日本人の父と英国系ハーフの母のもと、1940年に旧満州・上海で生まれました。引き揚げ後の混乱期を経て、ジャズ喫茶での演奏からロカビリー歌手として頭角を現し、日劇ウエスタンカーニバルで爆発的な人気を獲得。1962年にリリースされた永六輔作詞・中村八大作曲の名曲『遠くへ行きたい』は空前の大ヒットとなり、映画『若い季節』など俳優としても確固たる地位を築きました。
華やかな芸能界の頂点にいたジェリー藤尾さんは、1964年に歌手・タレントとして活動していた渡部朋子(わたなべ・ともこ)さんと結婚します。美男美女のカップル誕生はメディアで大々的に祝福され、やがて2人の子宝に恵まれました。誕生した長女の名前は「美紀(みき)」さん、そしてその後に生まれた次女の名前は「亜紀(あき)」さんです。
1970年代から1980年代前半にかけて、一家は『家族そろって歌合戦』などの人気テレビ番組やファミリー向けのテレビCMに揃って出演。「芸能界きってのおしどり夫婦・理想のファミリー」として全国のお茶の間から羨望の眼差しを集めていました。しかし、その眩しい笑顔の裏側では、家族の絆を根底から揺るがす深刻な亀裂が静かに進行していたのです。