日本国内でタフィー(ニブルス)がここまで愛される存在となった背景には、歴代の吹き替え声優陣による名演の功績があります。カートゥーンの吹き替えにおいて、赤ん坊特有の甲高い舌足らずさと、したたかな生意気さを両立させる演技は極めて高度な職人技を要します。
昭和のテレビ放映(TBS版)において「ニブルス」の声を担当したのは、名優・藤田淑子さんでした。『一休さん』の一休役や『デジモンアドベンチャー』の八神太一役などで知られる藤田さんの凛とした少年声と、ミルクをねだる甘えた鳴き声のギャップは、多くの視聴者の脳裏に焼き付いています。藤田さんが吹き込んだ「ジェリー兄ちゃん!」といった人情味あふれる掛け合いが、日本独自の親しみやすさを生み出しました。
その後、現行の正規DVD・ブルーレイソフトや配信版、近年のシリーズ『トムとジェリー ショー』等では、小島幸子さんや前田ゆきえさんらがタフィー役を好演しています。小島幸子さんは、フランス語混じりの気取ったセリフ回しや、ピンチの際にあげる愛くるしい悲鳴を絶妙なトーンで表現し、現代の若い世代にもその魅力を完璧に継承しています。声優陣の細やかな演技の積み重ねが、タフィーというキャラクターの生命線を半世紀以上にわたって支えているのです。