大手航空会社(FSC)の普通運賃と比べ、時に3分の1以下の価格設定を実現できる背景には、徹底的に無駄を削ぎ落としたLCC特有のオペレーション構造が存在します。単に「サービスを削っている」という情緒的な話ではなく、極めて緻密なコスト削減ロジックが組み込まれています。
第1に挙げられるのが機材の単一化と座席の高密度配置です。ジェットスター・ジャパンはエアバスA320型機(180席)および最新鋭のA321neo LR型機(238席)を中心に運用しています。同一機種に統一することでパイロットの訓練コストや整備部品の調達費を大幅に圧縮。さらに座席間隔(シートピッチ)を約29インチ(約74cm)に最適化し、同型機を運航する大手航空会社よりも1機あたりの座席数を約15〜20%多く確保しています。
第2の理由は機材の高回転率と空港滞在時間の短縮です。飛行機は空を飛んでいる時間にしか収益を生みません。ジェットスターでは到着から次の出発までの駐機時間(ターンアラウンドタイム)を約30分前後に設定し、1機の飛行機が1日に運航する便数を極限まで増やしています。
そして第3が「アンバンドリング(料金の細分化)」です。基本運賃には「A地点からB地点への移動」という純粋な輸送サービスのみが含まれ、手荷物預け、ジェットスターの座席指定料金、機内食、毛布の貸出などはすべて有料オプションとして切り離されています。乗客が必要なサービスだけを有料で選択する課金体系こそが、ベース運賃の劇的な引き下げを可能にしている決定的な理由です。